2015年3月10日 (火曜日)

不安と恐怖と迷い

癌の宣告を受けてからの不安と恐怖は並大抵のものではありませんでした。トイレに入る度の出血の恐怖 腹腔鏡手術のリスクは? 恒久的に人口肛門となってしまうのでは? 再発・転移の恐怖 等々直腸がんそのものの知識も手術に対する知識も当然ながら希薄ですし、更には病院や医師を経験豊富な所に変えた方が良いのではないか?といった考えも浮かんだりして頭の中は堂々巡りの状態に陥っていました。一方医師の中には検査や手術そして抗がん剤などは体に損傷を与えるだけで効果もなく措置を受けない方が良いと主張する方もおられて益々混乱に拍車が掛かったりしました。

自分の考えをまとめる意味もあって、2月28日に渋谷まで出掛けて近藤誠先生*1のセカンドオピニオンを受けてみました。その結果として、出血の恐怖については女性の月経での出血を考えると「その程度の出血で死ぬことはないよ」に合点を得て安心を得ると同時に、手術については主治医を信頼して受ける方向で決心をつけることができました。近藤誠先生の主張とは真逆の結論となりましたが、自分なりの結論を出すことで気持ちが随分と落ち着きを取り戻すことが出来たように思います。

この間、本来であれば内視鏡検査等を受ける日程となっていたのですが、どうにも精神的にも、体力的にも落ち込みが激しく延期していました。自分の中で決心がついたのに伴って食欲も出て気力が戻ってきましたので、3月6日と10日に検査を受けることにして手術に向けて体力維持に努めることにしました。

3月3日から内視鏡検査に向けた食事内容に変えて前日5日は指定の食事、6日朝からは絶食そして下剤の服用となり9時半から胃の内視鏡検査、11時からは大腸の内視鏡検査を受けました。最初は気付かなかったのですが大腸の内視鏡検査は主治医が自ら内視鏡を操作していました。

3月10日は午後の14時半より造影剤によるCT検査をうけました。検査には主治医も立ち会ってくれました。

CT検査の日の朝、病院より電話があり出てみると主治医からでした。「3月24日入院、3月26日手術で日程を取りました」との連絡。一気に手術に向けて動き出しました。

宣告から自分なりの心の整理がつくまでの間は不安と恐怖で思考停止状態だったことを考えると、がん患者に対しては病状や措置の説明だけではなく、患者に寄り添った精神的なサポートが必要ではないかと強く思いました。

  • *1  『患者よ、がんと闘うな』『がん放置療法のすすめ』ミリオンセラー『医者に殺されない47の心得』……。30年以上にわたり、慶應大学病院での診療と、執筆を中心にがん治療の啓蒙を続けてきた。
    近藤誠の公式ホームページ
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